試食販売

マネキンVS試食魔の仁義なき戦い

スーパーやデパ地下などでよく見かける試食。
世に出たばかりの新商品やリニューアル品の味を、まずお客さんに知ってもうのが目的に行ってます。
それであわよくば気に入ってもらえたら、購入に繋げたいという狙いがあるんですね。

だけどこっちの思惑や、モラルが全く通じない相手がいるのだ。

それが俗にいう試食魔!
…もし、皆さんが奴らの標的にされたらどうしますか?

  • 戦う
  • 逃げる?

残念ながらそのどちらも出来ません!(笑)
いくら試食魔とはいえお客さんには変わらないという悲しい現実…。
これだから接客業は辛いよ、本当に。

この仕事を始めたばかりの頃は、とりあえず訳も分からず好きなだけ、奴らに試食を与えていました。
でも回数をかなしていくうちに、段々と腹が立つようになってきたのだ。

試食品は決して無制限にあるわけじゃない

腹が立つ理由の一つがこれなんですね。
大体の試食品はマネキンさんが、その商品を買い取って立て替えています。
そのレシートを元に建て替えた分が、お給料と一緒に支払われるようになっている。(前借も一応出来る)

だから食べられれば食べられるほど、試食品を買い取らなければいけない。
でもメーカーによっては、試食品の買い取り額に上限がある場合もあります。

特にお菓子なんかは上限が決まっている場合が多い。
だから終了時間まで試食品がなくならないように、様子を見つつ小出ししたり…。
あまりにも人がたかってくる場合は、試食品を隠しちゃいます!(笑)

だって試食品が終了時間より、早くなくなってしまったら、正直やる事がない。
でも帰るわけにはいかないから、いらっしゃいませ~とか、声かけしながらやり過ごすしかないのです。

私はこのパターンが一番大嫌い

だから残り少なくて最後まで持つか微妙な時は、胸の位置にトレーを抱えます。
あえて台の上には試食品を置かず、全てトレーに乗せるのだ。
そして自分からは差し出さない。
お客さんが自分から手を出してくれば渡すのみ。

きっとこれは心理的な効果が大きいと思うのです。

試食台の上に乗っているのと、人の手から直接取るのでは、圧倒的に後者の方が精神的負担が大きいのかと…。

でもこれが通用するのは一般のお客さんのみ。

試食魔は堂々とさらっていく

いやぁ恐ろしいですね!
心理作戦も何もあったもんじゃない…。

しかも奴らは売り場を二周、三周と回って何食わぬ顔で食べていくのです。
でもね、マネキンはちゃんと食べた人の顔を覚えているんだよ。

そこで負けじとこちらも一言、断りをいれます。

他のお客様の分がなくなってしまうので、試食はお一人様一回でお願いしてます

これで引き下がればまだ良い方…大体は、無視してそのまま食べていくんですよね。

ちっちゃな試食魔

私がこの仕事をして一番驚いたのは、子供って試食が大好きだという事。(子供がいないので知らなかった)
しかも大人と違って悪気がないから、堂々ともう一個ちょうだい!と言ってくる(笑)
まぁこの場合は親が大体、もうダメでしょと言って注意してくれるんですけど…。

それでも後から子供だけで来て、もっとちょうだいと言ってくるパターンがある。
アレルギーの問題から、子供だけではあげられないので、もちろんことわります。

するとお姉さんが駄目って言ってくれなかったー!って遠くで見ている親に大声で叫ぶのだ(汗)
この瞬間、周りのお客さんが冷たい目で私を見るのです。

…体中が沸き立つ怒りで震えるのはここだけの話。

今まで出会った史上最強の試食魔

ついに現る試食魔界のボス!

今までの試食魔は、せいぜい子分といったところでしょうか。

その日は新発売のカップ焼きそばの試食だった。
CMでも流れていたし人気であっという間に試食がなくなっていく。

お湯を補充して待つ事3分。
出来たばかりの焼きそばを試食カップに取り分けていると一人の中年男性が私の前に立ちはだかった。
無言で焼きそばを見つめている。

私がカップに取り分けた分を差し出すと、それを軽く手で払いのけた。
そしてまだ半分ぐらい残っている、カップ焼きそば本体を奪いとって黙々と食べ始めたのです!

これにはびっくりしすぎて、ただその光景を呆然と見ている事しかできませんでした…(涙)
他の商品をちょうど近くで、販売していたマネキンさんも驚き顔。

これって完全にただの食い逃げじゃないですか?

恐ろしい…さすが試食魔界のボス。

もう二度と会う事がないのを願いつつ、笑顔で試食を配る日々です。
きっとマネキンVS試食魔の戦いは、永遠に終わらないでしょう。